【香川県】インフルエンザが流行入り|2026年第35週の感染症動向と施設の対策

感染症流行状況

香川県を拠点に、医療・介護・保育の現場で、感染対策の相談、職員研修、マニュアル・BCP整備など、現場に合った「無理なく続けられる感染対策」の支援を行う、感染管理認定看護師の横山達也です。

香川県が公表した2026年第35週(8月24日〜8月30日)の感染症週報で、県内のインフルエンザが流行期に入ったことが発表されました。

インフルエンザは23人、定点あたり1.0人で、前週の0.6人から増加しています。全国に続き、香川県でも流行入りの目安に達しました。

例年のワクチン接種が本格化する前の時期であり、多くの人が今シーズンのワクチンをまだ接種できていない段階での流行入りです。9月に入り、学校や園が再開して人との接触機会が増えることも考えると、今後の感染拡大に十分注意する必要があります。

この記事では、香川県感染症週報2026年第35週をもとに、インフルエンザを中心とした県内の感染症動向と、医療・介護・保育施設で確認したい対策を解説します。


1. 今週の全体像

2026年第35週の新型コロナウイルス感染症を含む定点把握感染症の報告患者総数は161人でした。前週の160人に対して100.6%となり、ほぼ横ばいです。

今週のポイントは次の6点です。

  • 香川県内のインフルエンザが流行期入り
  • インフルエンザは定点あたり1.0人で、前週比164.3%
  • 感染性胃腸炎(ウイルス)は定点あたり3.7人で、前週より増加
  • 基幹定点のマイコプラズマ肺炎は定点あたり1.8人へ増加
  • 全数把握感染症では腸管出血性大腸菌感染症が5件届出
  • 第35週の平均気温は31.4℃で、過去30年平均を3.7℃上回る

急性呼吸器感染症(ARI)全体の報告は736人、定点あたり32.0人で、前週の31.8人からわずかに増加しました。地区別では、小豆地区が57.5人、中讃地区が41.6人で、県平均を上回っています。

定点あたり報告数は、指定された定点医療機関からの報告をもとにした値です。県内すべての患者数そのものではなく、流行の傾向を見るための指標として確認してください。


2. 定点把握感染症の動向

今週の上位疾患は以下のとおりです。

感染性胃腸炎とインフルエンザが前週より増加しました。新型コロナウイルス感染症はわずかに減少し、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎と手足口病は横ばい、ヘルパンギーナは減少しています。


3. 香川県内でもインフルエンザが流行入り

香川県内のインフルエンザは23人、定点あたり1.0人となり、流行入りの目安に達しました。前週の0.6人から増加し、前週比は164.3%です。

直近4週間の推移は次のとおりです。

定点あたり報告数
第32週0.1人
第33週0.3人
第34週0.6人
第35週1.0人

4週連続で増加しており、第32週と比較すると10倍になっています。ただし、定点あたり報告数は流行の傾向を示す指標であり、県内の患者数が単純に10倍になったという意味ではありません。

地区別の報告状況

地区報告数定点あたり報告数
高松市4人0.4人
小豆1人0.5人
東讃6人3.0人
中讃12人1.7人
西讃0人0.0人

東讃地区が3.0人、中讃地区が1.7人で、県平均を上回っています。県内一律ではなく、地域によって報告状況に差があることにも注意が必要です。

乳幼児から80歳以上まで幅広い年代で報告

年齢区分をまとめると、次のようになります。

年齢区分報告数
0〜14歳13人
15〜59歳4人
60歳以上6人
合計23人

子どもの報告が多いものの、30歳代、40歳代、60歳代、70歳代、80歳以上からも報告されています。学校や保育施設だけでなく、家庭、職場、医療機関、介護施設など、すべての世代が利用する場所で注意が必要です。

ワクチン接種が十分に進む前の流行入り

今回の流行入りは、例年のインフルエンザワクチン接種が本格化する前の時期です。ワクチン接種の機会を待つ間も感染症は広がる可能性があるため、ワクチンだけに頼らず、今すぐ実施できる基本的な感染対策を徹底することが重要です。

今後ワクチン接種が始まった際は、年齢や基礎疾患などを踏まえ、かかりつけ医や医療機関と相談しながら接種を検討してください。


4. 今すぐ徹底したい基本的な感染対策

インフルエンザの感染拡大を防ぐため、次の基本的な感染対策の励行と管理を徹底してください。

1.咳や感冒症状がある場合はマスクを着用する

咳やくしゃみがある場合は、マスクの着用を含む咳エチケットを実践しましょう。マスクを着用できない場面では、ティッシュや腕の内側で口と鼻を覆い、使用したティッシュはすぐに捨てて手指衛生を行います。

2.こまめに手洗いまたは手指消毒を行う

食事前、鼻をかんだ後、咳やくしゃみを手で覆った後、共用物品に触れた後などは、手洗いまたは手指消毒を行いましょう。

手が目に見えて汚れている場合は、石けんと流水による手洗いが基本です。手洗い後は、共用タオルではなくペーパータオルや個人用タオルを使用します。

3.人が集まる場所では換気を行う

待合室、食堂、談話室、保育室、教室など、人が集まる場所では定期的に換気を行いましょう。職員休憩室や更衣室も、職員同士の接触が増えやすい場所として忘れずに確認してください。

気温の高い日が続いているため、換気中も室温を確認し、冷房を併用して熱中症対策と両立させることが大切です。

4.介護・保育施設では高頻度接触面を定期的に清拭消毒する

介護施設や保育施設では、ドアノブ、手すり、テーブル、スイッチ、蛇口、玩具など、多くの人が触れる高頻度接触面を定期的に清拭消毒しましょう。

施設内のすべてを頻繁に消毒するのではなく、「誰が、どこを、いつ、何を使って清拭するか」を決めておくと、無理なく継続できます。使用する消毒薬は対象物に適したものを選び、製品表示に従って濃度や接触時間を守ってください。

管理者が確認したいこと

  • 職員全員へ現在の流行状況を共有できているか
  • 咳や発熱などがある職員が無理に出勤しない体制になっているか
  • マスク、手指消毒剤、ペーパータオルなどの在庫を確認できているか
  • 換気や環境清拭の担当者・頻度・方法が明確になっているか
  • 複数人に症状がみられた際の報告先と初動対応を確認できているか

職員がインフルエンザをはじめとして流行感染症に罹患するリスクと対策については、以下の記事に記載しているので、併せてご覧ください。


5. 感染性胃腸炎も増加

感染性胃腸炎は48人、定点あたり3.7人で、前週の3.5人から増加しました。48人すべてがウイルス性として報告されており、ウイルス性に限った前週比は111.6%です。

地区別では、小豆地区が定点あたり8.0人、中讃地区が5.3人、東讃地区が4.0人で、県平均を上回っています。48人全員が14歳以下で、特に1歳が12人と多くなっています。

保育施設や家庭では、次の点を確認しましょう。

  • おむつ交換後やトイレ介助後は、石けんと流水で手を洗う
  • 嘔吐物や便を処理するときは、手袋やエプロンなど必要な個人防護具を使用する
  • 処理後は周囲を適切に清掃・消毒する
  • タオルの共用を避ける
  • 調理や配膳を担当する職員の健康状態を確認する

6. hMPVとマイコプラズマ肺炎が増加

ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)

hMPVは6人、定点あたり0.5人で、前週の0.2人から増加しました。6人全員が5歳以下です。

呼吸状態、哺乳・食事量、活気などを観察し、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、水分が取れないなどの様子がある場合は、早めの受診につなげましょう。

マイコプラズマ肺炎

小児科定点のマイコプラズマ肺炎は5人、定点あたり0.4人で、前週の0.2人から増加しました。

基幹定点では9人、定点あたり1.8人で、前週の0.2人から大きく増加しています。小児科定点と基幹定点は報告区分が異なるため、両者の数を単純に合算することはできません。

長引く咳、発熱、倦怠感などがみられる場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。


7. 新型コロナウイルス感染症はほぼ横ばい

新型コロナウイルス感染症は26人、定点あたり1.1人で、前週の1.2人からわずかに減少しました。前週比は92.9%です。

地区別では、小豆地区が定点あたり3.0人、西讃地区が2.5人、中讃地区が1.1人、高松市が0.7人でした。東讃地区からの報告はありませんでした。

県全体では減少していますが、小豆・西讃地区では県平均を上回っています。インフルエンザと症状だけで区別することは難しいため、発熱や咳などがある場合は、周囲へ広げない行動を取ることが大切です。


8. 全数把握感染症の届出状況

今週届け出られた全数把握感染症は以下のとおりです。

1類感染症と4類感染症の届出はありませんでした。これらは診断後に届け出られた件数であり、週報だけで感染場所、原因食品、施設との関連を判断することはできません。

腸管出血性大腸菌感染症は、重症化しやすい乳幼児や高齢者が利用する施設では特に注意が必要です。肉類は中心部まで十分に加熱し、生肉に使用した箸・トング・包丁・まな板を、加熱後の食品や生食する食材に使用しないようにしましょう。


9. 病原微生物検出情報

細菌では、東讃地区の下気道炎患者の咽頭検体から、マイコプラズマ・ニューモニエが検出されています。

ウイルスでは、次の病原体が検出されました。

  • アデノウイルス54型:東讃地区、結膜拭い液、流行性角結膜炎
  • パラインフルエンザウイルス3型:東讃地区、咽頭検体、急性呼吸器感染症
  • 水痘・帯状疱疹ウイルス:西讃地区、皮膚病巣、水痘

薬剤耐性菌遺伝子の検出報告はありませんでした。

病原微生物検出情報は限られた検体に基づきます。また、検体採取日は8月3日から19日であり、第35週の患者発生を直接示すものではありません。


10. 今週の気象と感染対策

第35週の平均気温は31.4℃で、過去30年平均の27.7℃を3.7℃上回りました。平均湿度は66.9%です。

9月に入っても厳しい暑さが続いています。換気を行う際は室温を確認し、冷房を適切に併用して、感染対策と熱中症対策を両立させましょう。

また、暑い時期は食品の温度管理にも注意が必要です。調理後の食品を室温に長時間放置せず、加熱する食品は中心部まで十分に加熱してください。


11. 施設種別の対応ポイント

医療機関・診療所

  • 受付時に発熱、咳、感冒症状を把握し、必要に応じて待機場所や診察動線を調整する
  • 咳や感冒症状がある人へ、マスクの着用を含む咳エチケットを案内する
  • 待合室や診察室を定期的に換気する
  • 職員の体調確認と、体調不良時に休める体制を確認する

介護施設

  • 利用者だけでなく、職員の発熱や咳なども早期に把握する
  • 面会者へ体調確認、手指衛生、咳エチケットを案内する
  • 居室や共用スペースに加え、職員休憩室や更衣室も換気する
  • 手すり、ドアノブ、テーブルなどの高頻度接触面を定期的に清拭消毒する
  • 集団発生時の報告先、情報共有、ゾーニング手順を確認する

保育施設・こども園・学校・病児保育

  • 欠席者数と、発熱・咳・下痢などの症状の傾向を継続して確認する
  • 食事前、トイレ後、鼻をかんだ後は、石けんと流水による手洗いを徹底する
  • 保育室や教室など、人が集まる場所を定期的に換気する
  • ドアノブ、テーブル、スイッチ、蛇口、玩具などを定期的に清拭消毒する
  • 子どもの症状を早期に把握し、保護者と情報を共有する

おわりに

2026年第35週、香川県内のインフルエンザは定点あたり1.0人となり、流行期に入りました。

ワクチン接種が十分に進む前の流行入りであり、学校や園の再開に伴って感染が広がる可能性もあります。今後の報告数の推移に十分注意が必要です。

まずは、次の基本的感染対策を確実に実施しましょう。

  • 咳や感冒症状がある場合はマスクを着用する(咳エチケット)
  • こまめに手洗いまたは手指消毒を行う
  • 人が集まる場所では換気を行う
  • 介護施設や保育施設では、高頻度接触面を定期的に清拭消毒する

対策を掲示するだけで終わらせず、職員へ周知し、必要な物品を準備し、実施状況を確認するところまで含めて管理することが大切です。

「インフルエンザの流行に備えて、施設の対応手順を確認したい」

「職員へ基本的な感染対策をわかりやすく伝えたい」

「感染症が複数人に発生したときの初動に不安がある」

そのようなときは、つなぐ感染対策支援室へお気軽にご相談ください。

医療機関、介護施設、保育施設など、それぞれの現場の人員・設備・業務に合わせて、無理なく続けられる感染対策を一緒に考えます。

現在、期間限定の「感染対策課題整理サポート」も実施しています。

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