こんにちは、つなぐ感染対策支援室の横山です。
梅雨の間は10年くらい前を思い出すような「そうだよ、梅雨ってこんな感じだったよな」という過ごしやすい気温でしたが、梅雨明けした先週からは「そうだよ、夏はこれだったな」と思わされる暑さになりました。
あまりにも暑いので判断力が鈍りがちになりますが、この暑さと湿度で細菌性食中毒が流行っています。飲食店における衛生管理はもちろんですが、私たち一般人も、肉や魚を買った場合は早く帰宅し冷蔵庫へ入れること、まな板や包丁などの調理器具は丁寧に洗いしっかり乾燥させることなど、基本的な食中毒対策を徹底する必要があります。
食中毒対策は厚労省ホームページにわかりやすい資料がまとめられているのでご確認ください。
1. 今週の全体像
2026年第28週(7/6〜7/12)の香川県における定点把握感染症の報告患者総数は273人となり、前週(247人)の110.5%とさらに増加しました。今週最大のトピックは手足口病の流行警報発令です。あわせて、全数把握感染症では腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の届出が前週の0件から一気に4件へと増加しており、真夏の食中毒シーズンに向けた注意が必要な状況です。

2. 定点把握感染症の動向
今週の上位5疾患は以下のとおりです。手足口病は全県で「◎流行(警報レベル)」に達し、東讃・中讃地区でも同様に警報レベルとなっています。一方、感染性胃腸炎(ウイルス性)とヘルパンギーナはやや落ち着きの傾向、新型コロナウイルス感染症は前週比245.5%と急な伸びを見せています。

先週急増していたヒトメタニューモウイルス感染症は今週は前週比70.6%とやや落ち着きましたが、新型コロナウイルス感染症は2週連続で増加率が高く、引き続き高齢者施設・医療機関では標準予防策の徹底が求められます。
3. 今週もっとも注目すべき動向:手足口病の流行警報
今週、香川県全域で手足口病の流行警報が発令されました。定点あたり報告数は5.6人と、警報基準値を超える水準に達しています。過去10年平均(5.1人)も上回っており、例年と比べても患者数の多い状況です。特に東讃・中讃地区では前週から大きく増加し、いずれも警報レベルに達しています。

手足口病はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる接触・飛沫感染が主体で、乳幼児を中心に夏季に流行します。多くは軽症で経過しますが、まれに髄膜炎などの合併症を伴うことがあるため、高熱が続く場合や嘔吐を繰り返す場合は医療機関の受診を促すことも大切です。
保育施設では、排泄物にウイルスが数週間排出され続けることを踏まえ、症状消失後もおむつ交換時の手指衛生を継続することがポイントです。
手足口病の病態や具体的な感染対策はこちらの記事にまとめています↓
4. 全数把握感染症(今週届出)
今週は腸管出血性大腸菌感染症(3類)、E型肝炎・日本紅斑熱・レジオネラ症(4類)、梅毒・百日咳(5類)の届出がありました。1類・2類感染症の届出はありませんでした。

5. 病原微生物検出情報
細菌からの検出報告はありませんでした。ウイルスでは以下の報告があり、呼吸器系ウイルス(パラインフルエンザウイルス・RSウイルス・ライノウイルス・HMPV)の同時検出が東讃・西讃・高松市の複数地区で見られています。

6. 今週の気象との関係
第28週の平均気温は27.3℃(過去30年平均26.6℃)と平年をやや上回り、平均湿度は78.9%と高い状態が続いています。気温の上昇は腸管出血性大腸菌をはじめとする細菌性食中毒のリスクを高める一方、高温多湿の環境は手足口病・ヘルパンギーナなどのエンテロウイルス属感染症の活動を支える条件でもあります。今後さらに気温が上昇する時期には、食品衛生と接触・飛沫感染対策の両面を意識した対応が必要です。
7. 施設種別の対応ポイント
| 急性期病院・診療所 | 手足口病流行警報を踏まえ、小児科外来でのゾーニング・待合室での接触機会の低減を再確認 腸管出血性大腸菌感染症の届出患者に対する接触予防策・排泄物処理手順の徹底 新型コロナウイルス感染症の増加傾向を踏まえた外来トリアージの再確認 |
| 介護施設 | 循環浴槽・シャワー設備のレジオネラ対策(清掃・消毒・塩素濃度管理)の点検 厨房での食材加熱・調理器具の洗浄消毒を強化し、細菌性食中毒を予防 新型コロナ・呼吸器系ウイルスの混合流行に備え、標準予防策の再徹底 |
| 保育施設・病児保育 | 手足口病流行警報(全県・東讃・中讃で警報レベル)を受け、症状児の早期分離とタオル等の個別管理を徹底 おむつ交換時の手指衛生を症状消失後も一定期間継続 給食での食材加熱・調理器具管理を見直し、腸管出血性大腸菌への曝露を防止 |
おわりに
今週の香川県感染症週報では、手足口病の流行警報発令をはじめ、腸管出血性大腸菌感染症の届出増加など、施設によってはすぐに対応が必要な情報が複数含まれていました。
感染症の流行は週ごとに変化します。週報のデータを「読むだけ」で終わらせず、自施設の状況と照らし合わせて「今、何をすべきか」に落とし込むことが、集団感染の予防につながります。
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そのようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度つなぐ感染対策支援室にご相談ください。
当室は、急性期医療機関での15年の臨床経験と感染管理認定看護師の専門知識をもとに、医療機関・介護施設・保育施設・歯科診療所など、さまざまな施設の感染対策をサポートしています。「難しい」「堅苦しい」ではなく、現場の実情に寄り添いながら、一緒に考えるスタイルで支援いたします。
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