香川県感染症週報2026年第32週(8/3〜8/9)解説|感染性胃腸炎が最多、流行性角結膜炎も増加

感染症流行状況

こんにちは、つなぐ感染対策支援室の横山です。

香川県が公表した2026年第32週(8月3日〜8月9日)の感染症週報では、新型コロナウイルス感染症を含む定点把握感染症の報告患者総数は212人でした。前週の246人に対して86.2%となり、34人、割合にして13.8%減少しています。

今週の最多疾患は感染性胃腸炎(ウイルス)で、定点あたり4.2人でした。新型コロナウイルス感染症は3.0人でほぼ横ばい、ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)は0.6人へ減少しています。手足口病は県全体では警報レベルを下回りましたが、東讃・中讃地区では流行が続いています。

また、流行性角結膜炎と基幹定点から報告されるマイコプラズマ肺炎が前週より増加しました。この記事では、香川県感染症週報2026年第32週をもとに、今週の特徴と施設で確認したい感染対策をわかりやすく解説します。


1. 今週の全体像

2026年第32週の定点把握感染症の報告患者総数は212人で、前週の246人に対して86.2%でした。

今週のポイントは次の6点です。

  • 感染性胃腸炎(ウイルス)は定点あたり4.2人で、今週の最多疾患
  • 新型コロナウイルス感染症は3.0人で、前週の3.1人からわずかに減少(ほぼ横ばい)
  • hMPVは0.6人で、前週の1.2人から半減
  • 手足口病は1.9人へ減少し、県全体では警報レベルを下回った一方、東讃・中讃では警報状態が継続
  • 流行性角結膜炎は0.2人から1.2人へ増加
  • 基幹定点のマイコプラズマ肺炎は0.4人から1.6人へ増加

急性呼吸器感染症(ARI)全体の報告は898人、定点あたり39.0人で、前週の39.9人からわずかに減少しました。

定点あたり報告数は、県内すべての患者数ではなく、指定された定点医療機関からの報告をもとにした値です。実際の患者数そのものではなく、流行の傾向を見るための指標として確認してください。


2. 定点把握感染症の動向

今週の上位5疾患は以下のとおりです。

上位5疾患はいずれも前週より減少しました。ただし、県内平均が下がっていても、地区によって報告状況には差があります。


3. 感染性胃腸炎は今週も最多

感染性胃腸炎(ウイルス)は54人、定点あたり4.2人で、前週の4.8人から減少しました。それでも、今週の定点把握感染症では最も高い値です。

地区別では、小豆地区と東讃地区がそれぞれ7.0人、中讃地区が4.3人、高松市が3.8人、西讃地区は0人でした。細菌性を含む感染性胃腸炎全体では56人です。

施設では、下痢や嘔吐の早期把握に加え、次の点を確認しましょう。

  • おむつ交換や排泄介助の後に、手袋を外して石けんと流水で手洗いできているか
  • 嘔吐物・排泄物を処理する物品がすぐ使える場所にあるか
  • 汚染した環境や物品を、施設の手順に沿って清掃・消毒できるか
  • 食品の温度管理と、調理前後の器具の使い分けができているか

4. 新型コロナはほぼ横ばい、hMPVは減少

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症は68人、定点あたり3.0人で、前週の3.1人からわずかに減少しました。前週比は95.8%です。

地区別では、小豆地区が7.0人、中讃地区が4.6人、東讃地区が3.5人、西讃地区が3.0人、高松市が0.9人でした。県全体ではほぼ横ばいですが、小豆・中讃地区では県平均を上回っています。

ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)

hMPVは8人、定点あたり0.6人で、前週の1.2人から半減しました。8人のうち6人が2歳以下で、1歳が4人と最も多くなっています。

地区別では、東讃地区と西讃地区がそれぞれ2.0人、中讃地区が0.8人、高松市が0.2人で、小豆地区からの報告はありませんでした。

厚生労働省の夏の感染症対策では、急性呼吸器感染症の予防として、手洗い、マスクの着用を含む咳エチケットなどの基本対策が示されています。

医療・介護・保育施設では、発熱や咳などの症状を早期に把握し、症状のある人の待機場所や動線、換気、ケアに応じた個人防護具を確認しておきましょう。


5. 手足口病は県全体で減少、東讃・中讃では警報継続

手足口病は25人、定点あたり1.9人で、前週の2.5人から減少しました。前週比は78.1%です。

県全体では警報レベルを下回りましたが、地区別では東讃地区が4.0人、中讃地区が3.5人で、両地区の警報レベルの流行は継続しています。高松市と小豆地区はそれぞれ1.0人、西讃地区は0人でした。

年齢別では、1歳が11人と最も多く、2歳以下は21人で全体の84%を占めます。

厚生労働省の手足口病に関する情報では、流水と石けんによる手洗い、タオルの共用を避けること、排泄物を適切に処理することが勧められています。症状が治まった後も便からウイルスが排出される期間があるため、登園再開後も日常的な手洗いを続けることが大切です。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは11人、定点あたり0.8人で、前週の2.2人から減少しました。ただし、小豆地区では定点あたり4.0人、中讃地区は1.0人、高松市は0.5人の報告があります。

発熱やのどの痛みによって水分が取りにくくなる場合があります。発熱の有無だけでなく、水分摂取量、尿量、活気なども観察しましょう。

手足口病・ヘルパンギーナなどの特徴や対策は、こちらの記事にもまとめています。

【保育施設向け】今、流行している三大夏かぜ―手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱


6. 流行性角結膜炎とマイコプラズマ肺炎が増加

上位5疾患には入りませんが、今週は次の増加にも注意が必要です。

流行性角結膜炎

流行性角結膜炎は6人、定点あたり1.2人で、前週の0.2人から増加しました。高松市から3人、東讃地区から3人の報告です。

施設では、眼の充血、目やに、まぶたの腫れなどを早めに把握し、目を触った後の手洗いを促しましょう。タオルや洗面用品など、眼や顔に触れる物品の共用を避けることも重要です。

マイコプラズマ肺炎

基幹定点から報告されるマイコプラズマ肺炎は8人、定点あたり1.6人で、前週の0.4人から増加しました。小豆地区から5人、中讃地区から3人の報告です。

小児科定点からも6人、定点あたり0.5人の報告があります。報告区分が異なるため、両者の数を単純に合算することはできません。

咳が長引く人を早期に把握し、咳エチケット、手指衛生、換気といった基本対策を続けましょう。


7. 全数把握感染症の届出状況とマダニ対策

今週届け出られた全数把握感染症は以下のとおりです。

1類・3類・4類感染症の届出はありませんでした。これらは診断後に届け出られた件数であり、週報だけで感染場所や施設との関連を判断することはできません。

マダニ媒介感染症に注意

今週の週報には、「マダニ媒介感染症に気をつけましょう」という注意情報が掲載されています。これは今週、マダニ媒介感染症の届出があったという意味ではありません。

マダニは春から秋に活動が活発になります。草むらや山などに入る場合は、長袖・長ズボンや足を完全に覆う靴を選び、肌の露出を減らしましょう。忌避剤の活用も選択肢です。

厚生労働省のダニ媒介感染症に関する情報では、吸血中のマダニを無理に引き抜かず医療機関で処置を受けること、刺された後は数週間ほど体調変化に注意し、発熱などがあれば受診することが案内されています。


8. 病原微生物検出情報

細菌の検出報告はありませんでした。

ウイルスでは、次の病原体が検出されています。

    また、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)では、高松市の肺炎患者の喀痰から Enterobacter cloacae complex が検出されました。耐性遺伝子はIMP-1、TEM型、CTX-M-1型、EBC型です。

    同じ検体から複数のウイルスが検出される場合があります。また、病原微生物検出情報は限られた検体に基づくため、県内で流行するすべての病原体の割合を示すものではありません。

    医療機関では、CREの検査結果を検査部門、病棟、感染対策担当者の間で確実に共有し、標準予防策と必要に応じた接触予防策を確認しましょう。


    9. 今週の気象と感染対策

    第32週の平均気温は31.1℃で、過去30年平均の29.1℃を2.0℃上回りました。平均湿度は64.0%です。

    暑い時期は、食品の温度管理と職員・利用者・子どもの熱中症対策が欠かせません。換気を行う際も室温を確認し、冷房を適切に併用して「換気」と「暑さ対策」を両立させましょう。

    屋外活動では、熱中症対策に加えてマダニ対策も確認してください。活動後は衣服や体にマダニが付いていないか確認し、入浴時には脇、足の付け根、膝の裏、頭部なども見ておくと安心です。


    10. 施設種別の対応ポイント

    医療機関・診療所

    • 受付時に発熱、咳、下痢、眼の充血・目やになどを把握し、必要に応じて待機場所や診察動線を調整する
    • 待合室や診察室の換気状況を確認する
    • 眼症状のある患者には、目を触れた後の手指衛生とタオル類の共用を避けるよう案内する
    • CREの検査結果を、検査部門・病棟・感染対策担当者間で共有できるか確認する

    介護施設

    • 発熱や咳のある利用者・職員を早期に把握し、必要に応じて動線やケア担当を調整する
    • 居室や共用スペースだけでなく、職員休憩室や更衣室の換気も確認する
    • タオルや洗面用品の共用を避け、眼の充血や目やにも早めに把握する
    • 下痢や嘔吐のある利用者への対応では、ケアごとの手袋交換と手洗いを徹底する

    保育施設・こども園・病児保育

    • おむつ交換後・トイレ介助後は、石けんと流水による手洗いを徹底する
    • タオルやコップの共用を避け、口や眼に触れる物品を適切に管理する
    • 咳、発熱、下痢に加え、眼の充血・目やにも早期に把握し、保護者と情報を共有する
    • 園外活動では、肌の露出を減らす服装や活動後の確認など、マダニ対策を行う

    おわりに

    今週は、定点把握感染症の報告患者総数が前週より13.8%減少しました。感染性胃腸炎は減少したものの今週も最多で、新型コロナはほぼ横ばい、hMPVは半減しています。

    手足口病は県全体で警報レベルを下回りましたが、東讃・中讃地区では警報状態が続いています。また、流行性角結膜炎とマイコプラズマ肺炎の増加、週報に掲載されたマダニ媒介感染症への注意情報も確認しておきたいポイントです。

    複数の感染症が同時にみられる時期こそ、症状の早期把握、手洗い、咳エチケット、換気、物品の共用回避、排泄物の適切な処理といった基本対策が現場で続けられているかを確認しましょう。

    「現在のマニュアルで対応できるか確認したい」

    「職員に今の流行状況をわかりやすく伝えたい」

    「対策を増やしすぎず、施設に合った方法を一緒に考えてほしい」

    そのようなときは、つなぐ感染対策支援室へお気軽にご相談ください。

    医療機関、介護施設、保育施設など、それぞれの現場の人員・設備・業務に合わせて、無理なく続けられる感染対策を一緒に考えます。

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    詳しくは下記の記事をご覧ください。

    感染管理認定看護師が施設を訪問して課題を整理|感染対策課題整理サポート

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