こんにちは、つなぐ感染対策支援室の横山です。
先週末から第41回日本環境感染学会学術集会に参加してきました。今年は前職時の活動の一部を共同演者として発表させていただきました。
発表した内容としては、地道な手指衛生順守率向上の取り組みが、コロナやインフルエンザのアウトブレイク発生の減少だけでなく、その他医療関連感染の原因となる細菌類の検出率減少につながっているというものでした。
まとめていただいた先生に改めて感謝申し上げます。
さて、新しい一週間の始まりを最新の感染症週報とともに始めたいと思います。
香川県感染症週報はバックナンバーも含めて香川県ホームページで公表されていますので、こちらも併せてご確認ください。
1. 今週の全体像
2026年第27週(6/29〜7/5)の香川県における定点把握感染症の報告患者総数は247人となり、前週(179人)の138.0%と大きく増加しました。小児科定点を中心とした夏型感染症の拡大に加え、新型コロナウイルス感染症もじわじわと報告数を伸ばしています。

特に中讃地区では手足口病・ヘルパンギーナがともに「◎流行(警報レベル)」の判定となっており、保育・教育施設における対応の優先度が高まっています。一方で新型コロナウイルス感染症は流行段階には至っていないものの、直近数週で緩やかな増加傾向が続いており、高齢者施設・医療機関では気を緩めずに標準予防策を継続することが重要です。
2. 定点把握感染症の動向
今週、患者定点からの報告で上位となった5疾患は以下のとおりです。手足口病・ヘルパンギーナ・感染性胃腸炎(ウイルス性)はいずれも前週比150〜165%前後の伸びを示し、夏季の小児感染症が県内全域で立ち上がりつつある状況がうかがえます。

3. 今週もっとも注目すべき動向:ヒトメタニューモウイルス感染症
今週最も変化が大きかったのはヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症です。前週比340.0%と急増しており、過去10年平均が0.0人であることを踏まえると、例年この時期にはほとんど報告のない疾患が今シーズンは目立って増加していることになります。年齢別報告では0〜4歳の乳幼児層に報告が集中しており、保育施設での集団感染リスクに注意が必要です。

hMPVは飛沫・接触感染で広がり、症状は発熱・咳・鼻汁など普通感冒〜気管支炎様の呼吸器症状が中心です。乳幼児や高齢者では下気道炎(細気管支炎・肺炎)に進展することもあるため、保育施設だけでなく、高齢者と接する機会の多い医療・介護職員も咳エチケットと手指衛生を徹底することが望まれます。
4. 全数把握感染症(今週届出)
今週は結核・梅毒・百日咳の届出がありました。1類・3類・4類感染症の届出はありませんでした。
5. 病原微生物検出情報
細菌からの検出報告はありませんでした。ウイルスでは以下の3件が報告されています。

6. 今週の気象との関係
第27週の平均気温は25.0℃(過去30年平均25.7℃)とほぼ平年並みでしたが、平均湿度は81.3%と高い水準でした。手足口病やヘルパンギーナなどのエンテロウイルス属による感染症は高温多湿の環境で増殖・伝播しやすく、今週の湿度の高さも患者数の増加を後押しした可能性があります。hMPVやパラインフルエンザウイルスといった呼吸器系ウイルスについても、梅雨時期から夏にかけて活動性が高まりやすいことが知られており、気温・湿度双方の観点から今後数週間の動向を注視する必要があります。
7. 施設種別の対応ポイント
| 急性期病院・診療所 | 新型コロナ患者数の緩やかな増加を踏まえ、スタッフの標準予防策の徹底を確認 |
| 介護施設 | 新型コロナなど呼吸器感染症の「じわじわ増加」に備え、標準予防策(手指衛生・咳エチケット)の再徹底 |
| 保育施設 | 手足口病・ヘルパンギーナが中讃地区で流行警報レベル。症状児の早期分離とタオル等の個別管理を徹底 流行性角結膜炎(アデノウイルス)を想定し、目やに等の症状がある児への対応手順を再確認 |
おわりに
今週の香川県感染症週報では、手足口病・ヘルパンギーナの中讃地区での流行警報レベル入りをはじめ、ヒトメタニューモウイルス感染症の前週比340%という急増など、施設によってはすぐに対応が必要な情報が複数含まれていました。
感染症の流行は週ごとに変化します。週報のデータを「読むだけ」で終わらせず、自施設の状況と照らし合わせて「今、何をすべきか」に落とし込むことが、集団感染の予防につながります。
「感染対策のことは気になっているけれど、何から手をつければいいかわからない」
「マニュアルはあるけれど、実態に合っているか自信がない」
「職員への教育をもっと充実させたいが、時間も人手も足りない」
そのようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度つなぐ感染対策支援室にご相談ください。
当室は、急性期医療機関での15年の臨床経験と感染管理認定看護師の専門知識をもとに、医療機関・介護施設・保育施設・歯科診療所など、さまざまな施設の感染対策をサポートしています。「難しい」「堅苦しい」ではなく、現場の実情に寄り添いながら、一緒に考えるスタイルで支援いたします。
対応内容の例
- 感染対策に関するご相談(単発・継続どちらも対応可)
- 職員向け感染対策研修・勉強会の企画・実施
- 感染対策マニュアル・BCPの新規作成・見直し支援
- アウトブレイク時の対応サポート
まずはお気軽にこちらからお問い合わせください。
現在、つなぐ感染対策支援室では期間限定の「感染対策課題整理サポート」を実施しています。
通常の相談料に比べ、手ごろな価格で感染対策相談を受けることができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓




コメント