【2026年最新】はしか(麻疹)が大人に広がっている——流行状況・感染経路・ワクチンで知っておくべきこと

感染症流行状況

こんにちは。つなぐ感染対策支援室の横山です。

最近、テレビやSNSの話題のサイクルについていけません。
自転車の青切符や巨人の監督が変わったことなど、いろいろありましたが皆さんハンタウイルスのこと覚えていますか?
まだ話題に上がって1ヶ月くらいしか経っていないのですが、この記事を読んで思い出した人も多いのではないでしょうか。

実際、クルーズ船に関連する感染確認例は13名で止まっています。最後の感染者が確認されたのは5月27日で、割と最近のことでした。
接触者以外からの新規感染者が出ている状況ではないので、今の時点では心配することはなさそうです。

そして国内の感染症トピックスに目をうつすと、やはりはしか(麻疹)が心配です。

「はしかは子どもの病気」——そう思っていませんか? 実は今、国内で麻疹(はしか)の感染者が急増しており、その多くは20〜30代の働き盛りの大人です。このブログでは、感染管理認定看護師の立場から、最新の流行状況・感染経路・効果的な感染対策までをわかりやすくお伝えします。


2026年の国内流行状況——10年に一度の規模に

2026年第15週(4月6〜12日報告分)時点で、全国の麻疹報告数は299例に達し、2025年の年間合計(265例)をわずか3か月半で上回りました(国立健康危機管理研究機構〔JIHS〕感染症発生動向調査)。感染者の71%は15〜39歳で、年齢の中央値は27〜30歳前後。JIHSは「2009年以降で最大の流行となる可能性」を指摘しています。

地域別では東京都(40例)・愛知県(23例)が多く、関東・東海・近畿から鹿児島まで全国に広がる「薄く広い」流行パターンになっています。愛知県東三河地域の高校では7人、東京都内の施設では9人規模のクラスターも発生しました。

感染経路の内訳を見ると、インドネシア・ニュージーランド・フィリピン・韓国など海外からの輸入例が一定数を占める一方、海外渡航歴のない国内感染例も多数確認されており、国内伝播が定着しつつある点が近年の特徴です。


感染経路——「同じ空間にいただけ」でも感染する

麻疹ウイルスは空気感染・飛沫感染・接触感染の3つの経路で広がります。特に問題なのが「空気感染(飛沫核感染)」です。ウイルスは空気中に最大2時間浮遊するため、感染者がすでにいなくなった部屋に入っただけでも感染する可能性があります。マスクや手洗いだけでは感染を防ぐことができない感染症です。

関西空港の集団感染事例

麻疹の「空気感染」のインパクトを示す事例として、2016年8月に起きた関西国際空港内での集団感染が記憶に残っています。初発例は20代の空港従業員で、発症から診断まで4か所の医療機関を受診し、その間も出勤を続けていたため、接触者は約200人に上りました。最終的に空港内の複数の事業所で計33人(年齢中央値24歳)が麻疹と診断されました(IASR Vol.38、2017年)。

感染が広がった場所には共用スペースも含まれており、「一瞬同じ場所にいただけ」という状況での感染が現実に起きています。これが麻疹の空気感染の怖さです。


感染力は「現存する感染症のなかで最強クラス」

麻疹の基本再生産数(R0)は12〜18。免疫を持たない人が感染者にさらされた場合、約90%が感染すると報告されています(CDC: Pink Book)。インフルエンザのR0が1〜2程度であることを考えると、その感染力の高さがわかります。しかも感染力は発疹が出る4日前からすでに存在するため、本人が「まだ元気」だと思っている段階で周囲にうつしてしまうのです。

感染すると10〜12日の潜伏期を経て発症し、高熱・結膜炎・鼻水から始まり、全身に特徴的な発疹が現れます。成人では肺炎や脳炎を合併しやすく、先進国でも1,000人に1人が死亡する可能性があるとされています。


感染対策——ワクチンだけが唯一の確実な予防法

麻疹は空気感染するため、一般的な感染対策(マスク・手洗い・換気)だけでは防ぎきれません。

医療機関や施設での対応としては、患者が疑われる場合は空気予防策(N95マスク・陰圧隔離室) が必要になります。麻疹が疑われる患者が来院した際は、一般待合室に長時間待機させないことが重要で、速やかに個室対応できる体制を整えておくことが感染拡大防止の鍵となります。


なぜ今、大人が感染しているのか——「空白世代」の存在

ワクチン接種の歴史的背景

現在、最も感染リスクが高いとされているのが1972年10月〜1990年4月生まれ(現在35〜53歳前後) の世代です。この世代が子どもだった頃、麻疹ワクチンは任意接種または1回接種が基本でした。日本でMRワクチン(麻疹・風疹混合)の2回定期接種制度が始まったのは2006年のことです。

ワクチン1回接種では免疫獲得率は約93〜95%であり、免疫がつかなかった5〜7%の人がそのまま成人になっています。さらに、1回接種で免疫が得られた人でも、年月とともに免疫が弱まることがあります。この「接種1回のみ世代」が現在の流行の主な担い手になっているのです。

ワクチンの有効性と今すぐ確認すべきこと

2回のワクチン接種による免疫獲得率は97〜99%で、発症予防・重症化予防の両面で高い有効性があります。

ご自身の接種歴を確認するには、母子健康手帳が最も確実です。接種歴が1回のみ、または不明な方は、かかりつけ医に相談のうえ、抗体検査や追加接種の検討をおすすめします。


まとめ

ポイント内容
感染経路空気感染・飛沫感染・接触感染
感染力R0が12〜18。免疫なければ約90%感染
感染可能期間発疹出現の4日前〜4日後
予防2回のワクチン接種が唯一の確実な予防法
リスクの高い世代1972〜1990年生まれ(1回接種のみの世代)

麻疹は「過去の病気」ではありません。今まさに全国で広がっています。母子手帳を引っ張り出して、ご自身とご家族の接種歴を確認してみてください。


参考:国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症発生動向調査(IDWR)2026年第15週 / IASR Vol.38(2017年) / 日本感染症学会 感染症クイックリファレンス / 厚生労働省 麻しん関連通知

本記事は公開情報をもとに作成したものです。症状がある場合や接種について詳しく知りたい場合は、医療機関にご相談ください。


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