2026年に入り、国内の麻しん(はしか)患者数が増加しています。
感染力が非常に強い感染症であるため、医療・介護・保育の現場では改めて注意が必要です。
本記事では、国立健康危機管理研究機構発行のIDWR2026年第14週(第14号)掲載文をもとに、最新の発生動向と現場で重要な対策を整理します。
麻しんとはどんな感染症か
麻しんはウイルスによる感染症で、以下の症状が特徴です。
- 高熱
- 全身の発疹
- 咳・鼻水などのカタル症状
空気感染を主体とし、非常に感染力が強いことが特徴です。
また、以下のような重篤な合併症にも注意が必要です。
- 麻しん肺炎(特に乳幼児)
- 麻しん脳炎(1,000~2,000人に1人)
- SSPE(数年後に発症する致死的中枢神経疾患)
特異的治療はなく、予防の中心はワクチン接種です。
2026年の発生状況(第14週時点)
2026年はこれまでと比べて明らかな増加傾向がみられています。
- 累計報告数:236例(過去数年を上回る)
- 第11週以降:週30例前後で推移
- 主な地域:東京都、鹿児島県、愛知県など
年齢中央値は27歳で、成人を含む幅広い年齢層で発生しています。
ワクチン接種との関係
ワクチン接種歴と発症の関係には重要な特徴があります。
- 未接種者:すべて典型的な麻しんとして発症
- 2回接種者:修飾麻しん(軽症)が多い
つまり、
👉 ワクチンは「感染予防+重症化予防」の両方に寄与する
と考えられます。
感染源:国内+海外の両方に注意
感染の内訳を見ると、
- 国内感染が多数
- 海外由来(東南アジアなど)も一定数存在
また、ウイルス遺伝子型はB3型・D8型が確認されています。
現在、海外では流行拡大の動きもあり、
👉 輸入例をきっかけとした国内拡大が懸念されています。
現場で重要な5つの対策
① ワクチン接種の徹底
- MRワクチン2回接種が最重要
- 職員の接種歴・罹患歴の確認も必須
② 早期発見・即対応
- 1例でも発生した時点で対応開始
- 接触者調査を迅速に実施
③ 曝露後対策
- 接触後72時間以内のワクチン接種で発症予防の可能性
④ 院内・施設内感染対策
- 医療従事者だけでなく事務職員も含めた対策
- 空気感染対策を前提に対応
⑤ 受診時の動線管理
疑い患者には以下を徹底:
- 事前電話連絡
- 公共交通機関の回避
- 他患者との動線分離(ゾーニング)
なぜ拡大しやすいのか
麻しんが厄介なのは以下の点です。
- 発症前から感染性あり
- 空気感染で広がる
- 手指消毒やマスクだけでは不十分
そのため、
👉 1例から集団発生に発展しやすい感染症
です。
今後のリスク:人の移動増加に注意
日本は現在も「排除状態」を維持していますが、
- 海外からの持ち込み
- 人の移動増加
- 国際的な大規模イベント(例:第20回アジア競技大会 2026/愛知・名古屋)
などにより、流行拡大のリスクは常に存在します。
まとめ
今回のポイントを整理すると:
- 2026年は麻しん患者が増加傾向
- 成人を含め幅広い年齢層で発生
- ワクチン2回接種が最も重要
- 1例目確認時点からの迅速対応が感染拡大防止の鍵
現場では「もう排除された感染症」という認識になりがちですが、
実際には輸入例を起点とした再燃リスクが続いている感染症です。
日常的な備え(ワクチン確認と初動対応の整備)が、
施設全体のリスクを大きく左右します。
患者・利用者や職員が罹患、暴露した場合の初動対応やマニュアル整備についてのご相談は
つなぐ感染対策支援室ホームページのフォームよりお気軽にお問合せください。




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