香川県感染症週報2026年第33週(8/10〜8/16)|新型コロナは全世代で注意

感染症流行状況

香川県を拠点に、医療・介護・保育の現場で、感染対策の相談、職員研修、マニュアル・BCP整備など、現場に合った「無理なく続けられる感染対策」の支援を行う、感染管理認定看護師の横山達也です。

香川県が公表した2026年第33週(8月10日〜8月16日)の感染症週報では、新型コロナウイルス感染症を含む定点把握感染症の報告患者総数は189人でした。前週の212人に対して89.2%となり、23人、割合にして10.8%減少しています。

今週、流行警報は発令されていません。しかし、流行警報がないことは、感染症が流行していないという意味ではありません。

新型コロナウイルス感染症は定点あたり2.7人で、今週の最多疾患となりました。県内すべての地区から報告があり、年齢別でも乳幼児から80歳以上まで幅広い年代で確認されています。夏休みやお盆の時期で人との接触機会が増えた影響が今後現れる可能性もあるため、全世代で注意が必要です。

この記事では、香川県感染症週報2026年第33週をもとに、今週の特徴と施設で確認したい感染対策をわかりやすく解説します。


1. 今週の全体像

2026年第33週の定点把握感染症の報告患者総数は189人で、前週の212人に対して89.2%でした。

今週のポイントは次の6点です。

  • 流行警報の発令はなし
  • 新型コロナウイルス感染症は定点あたり2.7人で、今週の最多疾患
  • 新型コロナは県内全地区、乳幼児から高齢者まで幅広い年代から報告
  • 感染性胃腸炎(ウイルス)は4.2人から2.3人へ大きく減少
  • 手足口病は減少した一方、ヘルパンギーナとhMPV(ヒトメタニューモウイルス)は増加
  • 全数把握感染症では、腸管出血性大腸菌感染症が2件届出

急性呼吸器感染症(ARI)全体の報告は794人、定点あたり34.5人で、前週の39.0人から減少しました。ただし、小豆地区は定点あたり68.0人と、県平均を大きく上回っています。

定点あたり報告数は、県内すべての患者数ではなく、指定された定点医療機関からの報告をもとにした値です。実際の患者数そのものではなく、流行の傾向を見るための指標として確認してください。


2. 定点把握感染症の動向

今週の上位5疾患は以下のとおりです。

新型コロナ、感染性胃腸炎、手足口病は前週より減少しました。一方、ヘルパンギーナとhMPVは増加しています。

県全体の平均だけで判断せず、地区別・年齢別の状況も合わせて確認することが大切です。


3. 新型コロナは全地区・幅広い年代から報告

新型コロナウイルス感染症は63人、定点あたり2.7人で、前週の3.0人からわずかに減少しました。前週比は92.6%です。

数値は減少していますが、今週の定点把握感染症では最も高く、県内すべての地区から報告があります。

地区別の報告状況

地区定点あたり報告数
高松市1.1人
小豆7.0人
東讃2.0人
中讃4.6人
西讃1.0人

小豆地区が7.0人、中讃地区が4.6人で、県平均の2.7人を上回っています。

年齢別の報告状況

年齢区分をまとめると、次のようになります。

年齢区分報告数
0〜14歳43人
15〜59歳11人
60歳以上9人
合計63人

0〜14歳の報告が多いものの、20歳代から80歳以上まで成人・高齢者からも報告があります。子どもの感染症として限定せず、家庭、学校、職場、医療・介護施設など、すべての世代が利用する場所で注意が必要です。

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症に関する情報では、マスクの着用を含めた咳エチケット、手洗い・手指消毒、換気などが予防策として示されています。

施設では、次の点を確認しましょう。

  • 利用者・患者・子どもだけでなく、職員の発熱や咳なども早期に把握できているか
  • 症状がある人の待機場所や動線を調整できるか
  • 待合室、居室、保育室に加え、職員休憩室や更衣室も換気できているか
  • 多くの人が触れるドアノブやスイッチ、手すりなど高頻度接触面の環境清拭は定期的に実施できているか
  • 高齢者や基礎疾患のある人など、重症化リスクの高い人への配慮ができているか

4. 感染性胃腸炎は減少、腸管出血性大腸菌感染症は2件届出

感染性胃腸炎(ウイルス)は30人、定点あたり2.3人で、前週の4.2人から大きく減少しました。前週比は55.6%です。

地区別では、東讃地区が5.0人、中讃地区が2.8人、高松市が2.2人、小豆地区が1.0人で、西讃地区からの報告はありませんでした。

一方、全数把握感染症では、腸管出血性大腸菌感染症が高松市と中讃地区から各1件、計2件届け出られています。

定点把握の「感染性胃腸炎(ウイルス)」と、全数把握の「腸管出血性大腸菌感染症」は別の感染症です。週報だけで個別事例の感染経路や原因食品を判断することはできませんが、下痢や血便などの早期把握と、手洗い・食品衛生の確認が必要です。

厚生労働省の腸管出血性大腸菌Q&Aでは、腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上加熱することで死滅するとされています。

  • 調理前後、トイレの後、おむつ交換の後は手洗いを徹底する
  • 肉類は中心部まで十分に加熱する
  • 生肉に使用した箸、トング、包丁、まな板を加熱済み食品や生食する食材に使用しない
  • 生肉を扱った器具は十分に洗浄・消毒する

高齢者や乳幼児など、重症化しやすい人が利用する施設では、加熱不十分な食肉を提供しないことが重要です。


5. 小児科関連感染症:手足口病は減少、ヘルパンギーナとhMPVは増加

手足口病

手足口病は19人、定点あたり1.5人で、前週の1.9人から減少しました。前週比は76.0%です。

地区別では、東讃地区が3.0人、中讃地区が2.3人、高松市が1.2人で、小豆地区と西讃地区からの報告はありませんでした。

年齢別では、19人のうち16人が2歳以下です。流行警報は発令されていませんが、乳幼児が集団生活を送る保育施設では、引き続き日常的な手洗いと排泄物の適切な取り扱いを続けましょう。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは16人、定点あたり1.2人で、前週の0.8人から増加しました。前週比は145.5%です。

地区別では、小豆地区が7.0人、東讃地区が2.0人、高松市が0.8人、中讃地区が0.5人で、西讃地区からの報告はありませんでした。県内に流行警報は発令されていませんが、小豆地区では局地的に報告が多くなっています。

発熱やのどの痛みによって水分が取りにくくなることがあります。体温だけでなく、水分摂取量、尿量、活気なども観察しましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV)

hMPVは9人、定点あたり0.7人で、前週の0.6人から増加しました。前週比は112.5%です。

年齢別では、9人全員が4歳以下で、1歳が3人、2歳が4人、3歳と4歳が各1人でした。地区別では、東讃地区が2.0人、西讃地区が1.0人、高松市が0.8人、中讃地区が0.3人で、小豆地区からの報告はありませんでした。

手足口病・ヘルパンギーナなどの特徴や対策は、こちらの記事にもまとめています。

【保育施設向け】今、流行している三大夏かぜ―手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱


6. その他の定点把握感染症

流行性角結膜炎

流行性角結膜炎は7人、定点あたり1.4人で、前週の1.2人から増加しました。高松市から6人、東讃地区から1人の報告です。

施設では、眼の充血、目やに、まぶたの腫れなどを早めに把握し、目を触った後の手洗いを促しましょう。タオルや洗面用品など、眼や顔に触れる物品の共用を避けることも重要です。

インフルエンザ

インフルエンザは8人、定点あたり0.3人で、前週の0.1人から増加しました。高松市から7人、中讃地区から1人の報告です。

マイコプラズマ肺炎

基幹定点のマイコプラズマ肺炎は7人、定点あたり1.4人で、前週の1.6人からわずかに減少しました。小児科定点からも7人、定点あたり0.5人の報告があります。報告区分が異なるため、両者の数を単純に合算することはできません。


7. 全数把握感染症の届出状況

今週届け出られた全数把握感染症は以下のとおりです。

1類感染症の届出はありませんでした。これらは診断後に届け出られた件数であり、週報だけで感染場所や施設との関連を判断することはできません。


8. 病原微生物検出情報

細菌および薬剤耐性菌遺伝子の検出報告はありませんでした。

ウイルスでは、次の病原体が検出されています。

SARS-CoV-2とライノウイルスは、同じ検体から検出されています。また、最初のライノウイルスは5月25日に採取された検体であり、今週の患者発生を直接示すものではありません。

病原微生物検出情報は限られた検体に基づくため、県内で流行するすべての病原体の割合を示すものではありません。


9. 今週の気象と感染対策

第33週の平均気温は28.3℃で、過去30年平均の28.9℃を0.6℃下回りました。平均湿度は67.1%です。

前週より気温は下がりましたが、引き続き熱中症と食品の温度管理に注意が必要です。換気を行う際も室温を確認し、冷房を適切に併用して「換気」と「暑さ対策」を両立させましょう。

お盆期間中に人の移動や集まりが増えた施設では、今後数日は発熱、咳、下痢などの症状を丁寧に確認してください。


10. 施設種別の対応ポイント

医療機関・診療所

  • 受付時に発熱、咳、下痢などの症状を把握し、必要に応じて待機場所や診察動線を調整する
  • 待合室や診察室の換気状況を確認する
  • 年代を問わず呼吸器症状に注意し、咳エチケットや手指衛生を案内する
  • 血便や下痢のある患者では、排泄物に触れる場面の標準予防策と必要な接触予防策を徹底する

介護施設

  • 利用者だけでなく、職員の発熱や咳なども早期に把握する
  • 居室や共用スペースに加え、職員休憩室や更衣室の換気も確認する
  • 高齢者や基礎疾患のある人への感染を防ぐため、咳エチケットと手指衛生を徹底する
  • 肉類は中心部まで十分に加熱し、生肉と加熱済み食品の調理器具を分ける

保育施設・こども園・病児保育

  • 咳、発熱、下痢などの症状を早期に把握し、保護者と情報を共有する
  • おむつ交換後・トイレ介助後は、石けんと流水による手洗いを徹底する
  • タオルやコップの共用を避け、口や眼に触れる物品を適切に管理する
  • 発熱やのどの痛みがある場合は、水分摂取量、尿量、活気など全身状態を観察する

おわりに

今週は、定点把握感染症の報告患者総数が前週より10.8%減少し、流行警報も発令されていません。

一方、新型コロナウイルス感染症は今週の最多疾患で、県内すべての地区、乳幼児から80歳以上まで幅広い年代から報告されています。前週よりわずかに減少しているものの、全世代で注意が必要な状況です。

また、ヘルパンギーナとhMPVの増加、腸管出血性大腸菌感染症の届出も確認されています。警報の有無だけで判断せず、症状の早期把握、手洗い、咳エチケット、換気、排泄物の適切な処理、食品の十分な加熱といった基本対策を続けましょう。

「現在のマニュアルで対応できるか確認したい」

「職員に今の流行状況をわかりやすく伝えたい」

「対策を増やしすぎず、施設に合った方法を一緒に考えてほしい」

そのようなときは、つなぐ感染対策支援室へお気軽にご相談ください。

医療機関、介護施設、保育施設など、それぞれの現場の人員・設備・業務に合わせて、無理なく続けられる感染対策を一緒に考えます。

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