香川県感染症週報2026年第29号(7/13〜7/19)解説|手足口病がさらに拡大、新型コロナは前週の約2倍

感染症流行状況

こんにちは、つなぐ感染対策支援室の横山です。

書いたところで治まるものでもないのですが、暑いですね。
名古屋や岐阜の暑さは異次元ですが、私が住む高松もそれに迫る暑さです。車の外気温計はあまり見ないようにしていますが、先日は郊外を走っていてもずっと42℃と表示されていました。

この暑さの中で行われる学生スポーツや、子どもから高齢者が集まる屋外のイベントをすることに強い危機感を感じています。これまでの慣例や文化も大切だけど、もはや工夫や気合で乗り越えられる環境ではないです。これは医療機関の負担が~などのポジショントークではなく、一人の看護師として強く感じていることです。
高校野球はプレーしている生徒さんの思いもあると思いますが、なんとか別の季節でできないのかな、花火やお祭りは10月や11月でもいいんじゃないのかな、そんなことを思ってしまいます。

青空に白い雲の下、汗を流す青春の1ページ、そんな時代は終わったと思います。いつまでも昭和・平成世代の思い出を令和の時代にトレースすることを”やめる勇気”を社会が持ってほしいと思います。

きっとそういう声が増えないと変わらないと思うので、今日はここでつぶやいてみました。
もちろんいろんな考えの人がいていいと思います。ただ、今の夏は人間が健康に過ごせる環境ではない、という共通認識を行動に移していきたいと思っています。

いろいろ書きましたが、本題に移りましょう。

香川県が公表した2026年第29週(7月13日〜7月19日)の感染症週報では、定点把握感染症の報告患者総数が321人となり、前週の273人から17.6%増加しました。

今週は、流行警報が発令されている手足口病がさらに増加したほか、新型コロナウイルス感染症が前週の約2倍に増えています。ヘルパンギーナやヒトメタニューモウイルス感染症も増加しており、保育施設だけでなく、医療機関や介護施設でも注意が必要な状況です。

この記事では、香川県感染症週報2026年第29週をもとに、今週の特徴と施設で確認したい感染対策をわかりやすく解説します。

1. 今週の全体像

2026年第29週の定点把握感染症の報告患者総数は321人で、前週の273人に対して117.6%となりました。

今週のポイントは次の4点です。

  • 手足口病は定点あたり6.8人となり、流行警報が継続
  • 新型コロナウイルス感染症は定点あたり1.2人から2.3人へ増加
  • ヘルパンギーナとヒトメタニューモウイルス感染症も増加
  • 腸管出血性大腸菌感染症が前週に続いて4件届出

特に中讃地区では、手足口病、ヘルパンギーナ、新型コロナウイルス感染症の報告がいずれも多く、複数の感染症が同時に増えている点に注意が必要です。

定点あたり報告数は、県内すべての患者数ではなく、指定された定点医療機関からの報告をもとにした値です。実際の患者数そのものではなく、流行の傾向を見るための指標として確認してください。


2. 定点把握感染症の動向

今週の上位5疾患は以下のとおりです。

感染性胃腸炎(ウイルス)は全県では減少しましたが、小豆地区では定点あたり10.0人、東讃地区では8.0人と、地域によっては報告が増えています。県全体の数字だけでなく、自施設がある地域の動向も併せて見ることが大切です。


3. 今週もっとも注目すべき動向:手足口病の流行がさらに拡大

手足口病は88人の報告があり、定点あたり報告数は前週の5.6人から6.8人へ増加しました。過去5週平均の3.3人、過去10年平均の3.7人も大きく上回っています。

地区別では、東讃地区が8.0人、中讃地区が15.5人で、いずれも警報レベルです。中讃地区は県平均の2倍を超える水準となっています。

年齢別では、88人のうち1歳が46人と半数を超えています。乳幼児が集団生活を送る保育園やこども園では、特に感染が広がりやすい時期と考えられます。

厚生労働省の手足口病に関する情報では、飛沫感染、接触感染、糞口感染が主な感染経路とされ、石けんと流水による手洗い、タオルの共用を避けること、排泄物を適切に処理することが勧められています。

症状が治まった後も便からウイルスが排出される期間があるため、登園再開後も、おむつ交換やトイレ介助後の手洗いを丁寧に続けることが重要です。

手足口病・ヘルパンギーナなどの特徴や具体的な対策は、こちらの記事にもまとめています。

【保育施設向け】今、流行している三大夏かぜ―手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱


4. ヘルパンギーナとヒトメタニューモウイルス感染症も増加

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは57人、定点あたり4.4人で、前週比123.9%に増加しました。東讃地区は7.0人、中讃地区は8.8人で、いずれも警報レベルです。

手足口病と同様に乳幼児の報告が多く、発熱やのどの痛みによって水分が取りにくくなる場合があります。保育施設では、発熱者の把握だけでなく、食事や水分摂取の状況、活気の有無も丁寧に観察しましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症

ヒトメタニューモウイルス感染症は18人、定点あたり1.4人で、前週比150.0%となりました。今週の報告は全員が4歳以下で、特に2歳の報告が8人と多くなっています。

発熱や咳などの呼吸器症状がある子どもが増えている場合は、手洗い、咳エチケット、換気、よく触れる場所や玩具の清潔保持といった基本対策を見直しましょう。


5. 新型コロナウイルス感染症は前週の約2倍

新型コロナウイルス感染症は53人の報告があり、定点あたり報告数は前週の1.2人から2.3人へ増加しました。前週比は196.3%で、ほぼ2倍です。

地区別では中讃地区が38人、定点あたり5.4人と最も高く、県内の報告の約7割が中讃地区からとなっています。ただし、地域ごとに定点医療機関数が異なるため、単純な人数だけで地域を比較するのではなく、定点あたり報告数と併せて見る必要があります。

新型コロナウイルス感染症は、2023年に5類感染症へ移行した後も、夏と冬に患者が増える傾向があります。厚生労働省は、咳エチケット、手洗い・手指消毒、換気などを基本的な予防策として示しています。

医療機関や介護施設では、地域の増加を確認してから一律に強い制限を始めるのではなく、次のような基本対策が機能しているかを確認することが大切です。

  • 職員・利用者の発熱や呼吸器症状を早期に把握できているか
  • 症状がある人のマスク着用や動線の調整ができるか
  • 居室、待合室、休憩室などの換気が確保されているか
  • ケア内容に応じて必要な個人防護具を選択できているか

6. 全数把握感染症:腸管出血性大腸菌感染症が2週連続で4件

今週届け出られた全数把握感染症は以下のとおりです。

腸管出血性大腸菌感染症は、前週に続いて今週も4件の届出がありました。定点把握の「感染性胃腸炎(ウイルス)」は減少していますが、こちらは別の感染症です。胃腸炎全体が落ち着いたと判断せず、食中毒対策は引き続き必要です。

厚生労働省の腸管出血性大腸菌Q&Aでは、食肉などを中心部まで75℃で1分間以上加熱すること、生食用の野菜・果物と肉・魚でまな板を使い分けることなどが示されています。

また、レジオネラ症が2件届け出られています。ただし、週報から感染源を特定することはできません。介護施設や医療機関では、これを個別施設での発生と結び付けるのではなく、循環式浴槽、シャワー、加湿設備などの清掃・消毒・点検手順を再確認するきっかけにするとよいでしょう。


7. 病原微生物検出情報

細菌およびカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)の耐性遺伝子検出報告はありませんでした。

ウイルスでは、アデノウイルス1型、コクサッキーウイルスA6・A10、パラインフルエンザウイルス3型、ヒトパルボウイルスB19、ヒトメタニューモウイルスが検出されています。

手足口病の原因となることがあるコクサッキーウイルスA6・A10が複数検出されており、定点報告で手足口病が増えている状況とも矛盾しません。ただし、検出情報は限られた検体に基づくため、県内で流行するすべての病原体の割合を示すものではありません。


8. 今週の気象と感染対策

第29週の平均気温は31.3℃で、過去30年平均の27.5℃を3.8℃上回りました。平均湿度は63.9%です。

気温が高い時期は、購入した食品を長時間持ち歩かない、冷蔵品は早めに冷蔵庫へ入れる、調理済み食品を室温に放置しないなど、温度管理を意識することが重要です。

感染対策と同時に、職員や利用者、子どもの熱中症にも注意が必要です。換気のために窓を開ける場合も、室温を確認しながら冷房を併用し、「換気」と「暑さ対策」を両立させましょう。


9. 施設種別の対応ポイント

医療機関・診療所

  • 小児外来では、手足口病、ヘルパンギーナ、呼吸器感染症の流行を踏まえて待合室の動線を確認する
  • 新型コロナの増加に備え、受付時の症状確認、換気、咳エチケット、個人防護具の選択を再確認する
  • 下痢や血便の患者では腸管出血性大腸菌感染症も念頭に置き、排泄物に触れる場面での標準予防策・接触予防策を徹底する
  • 薬剤耐性菌感染症の届出を踏まえ、手指衛生と患者周辺環境の清潔保持を見直す

介護施設

  • 発熱や咳のある利用者・職員を早期に把握し、必要に応じて動線やケア担当を調整する
  • 居室や共用スペースだけでなく、職員休憩室や更衣室の換気も確認する
  • 厨房では食肉の十分な加熱、調理器具の使い分け、冷蔵品の温度管理を徹底する
  • 浴槽水やシャワー設備など、レジオネラ対策に関する清掃・消毒・点検記録を確認する

保育施設・こども園・病児保育

  • おむつ交換後・トイレ介助後は、石けんと流水による手洗いを徹底する
  • タオルやコップの共用を避け、口に入れる玩具やよく触れる場所を適切に清掃する
  • 手足口病やヘルパンギーナの症状が治まった後も、排泄物の取り扱いを丁寧に続ける
  • 発熱、咳、のどの痛みだけでなく、水分摂取量や活気など全身状態を観察する

おわりに

今週は、手足口病の流行警報が続くなか、新型コロナウイルス感染症、ヘルパンギーナ、ヒトメタニューモウイルス感染症も増加しました。

複数の感染症が同時に流行すると、病名ごとに新しい対策を追加したくなります。しかし、まず大切なのは、手洗い、換気、症状の早期把握、排泄物の適切な処理、食品の温度管理といった基本対策が、現場で無理なく続けられているかを確認することです。

「現在のマニュアルで対応できるか確認したい」

「職員に今の流行状況をわかりやすく伝えたい」

「対策を増やしすぎず、施設に合った方法を一緒に考えてほしい」

そのようなときは、つなぐ感染対策支援室へお気軽にご相談ください。

医療機関、介護施設、保育施設など、それぞれの現場の人員・設備・業務に合わせて、無理なく続けられる感染対策を一緒に考えます。

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