感染対策を外部専門家に相談すると何をされる?私が施設支援で大切にしていること

つなぐ感染対策支援室について

香川県を拠点に、医療・介護・保育の現場で、感染対策の相談、職員研修、マニュアル・BCP整備など、現場に合った「無理なく続けられる感染対策」の支援を行う、感染管理認定看護師の横山達也です。

「外部の感染対策専門家に相談すると、できていないところをたくさん指摘されるのでは?」
「今より仕事を増やされるのでは?」
「専門家に見てもらうほど、うちの施設はきちんとできていないかもしれない」

このような不安から、外部への相談をためらう方もいるのではないでしょうか。

これまで施設の方とお話しする中でも、感染対策について相談すること自体に、少なからず緊張や不安を感じている様子を伺うことがあります。

私が感染対策支援で大切にしているのは、

できていないところを探して指摘することではありません。

必要なリスクはきちんとお伝えしたうえで、

「なぜ今の方法になっているのか」

「現場では何が難しいのか」

を一緒に考え、その施設で無理なく続けられる方法を探していくことです。


必要なことは、きちんとお伝えします

「押し付けない支援」と聞くと、

「問題があっても何も言わないのでは?」

と思われるかもしれません。

もちろん、そのようなことはありません。

利用者さんや患者さん、職員への感染リスクが高い状態であれば、その点は専門家として明確にお伝えします。

例えば、

  • 感染症発生時に周囲への感染拡大につながる可能性が高い
  • 個人防護具の使用方法に大きな問題がある
  • 手指衛生を実施しにくい環境になっている
  • マニュアルと実際の運用に大きな違いがある

といったことが確認されれば、改善が必要な理由も含めて説明します。

ただし、

「できていないので直してください」

だけでは、現場はなかなか変わりません。

そこで次に考えるのが、

「なぜできていないのか」

ということです。


「できていない」には、理由があることがあります

感染対策のルールが守られていないと、

「職員の意識が低い」
「きちんと教育できていない」

と考えてしまいがちです。

しかし、実際に現場を見ると、別の理由が隠れていることがあります。

例えば、

「手指消毒剤を使ってください」

というルールがあっても、

  • 必要な場所に手指消毒剤がない
  • 業務動線上、使いにくい場所に置かれている
  • 誰が補充するのか決まっていない
  • 忙しい場面で使用しにくい

という環境であれば、職員への注意だけでは改善しにくいでしょう。

吐物処理についても同じです。

マニュアルがあっても、

  • 処理セットがどこにあるか分からない
  • 必要なPPEがすぐに取り出せない
  • 利用者さんの誘導役が決まっていない
  • 廃棄物をどこへ運ぶのか決まっていない

という状態では、実際に感染性胃腸炎が発生したときに、マニュアル通り動くことは簡単ではありません。

だからこそ、

職員個人の問題だけにせず、環境・動線・ルール・体制まで一緒に見ること

を大切にしています。


正しい対策でも、続かなければ意味がありません

感染対策には、標準的な方法や守るべき原則があります。

一方で、

理想的な対策をすべて追加すればよいわけではありません。

医療・介護・保育の現場では、人員や時間、設備にも限りがあります。

その中で、
「この方法が一番正しいので、今日から全部変えてください」
と伝えても、現場で続かなければ意味がありません。

感染対策を継続するためには、

  • 誰が行うのか
  • いつ行うのか
  • 必要な物品はどこに置くのか
  • 忙しい時間帯でも実施できるのか
  • 新しい職員にも同じ方法が伝わるのか

といったところまで考える必要があります。

私が支援の中で大切にしているのは、

「正しい対策」と「現場で続けられること」の接点を探すこと

です。


「新しい対策を増やさない」こともあります

感染対策を見直すというと、

「研修を増やす」
「チェック項目を増やす」
「新しいルールを作る」

といったことを想像するかもしれません。

しかし、必ずしも新しいことを増やす必要はありません。

外部から現場を見ることで、

「これは今の方法で十分です」

「ここはすでにきちんとできています」

と確認できることもあります。

また、

「この対策より、まずはこちらを優先しましょう」

と整理できる場合もあります。

感染対策担当者にとって、

やるべきことが明確になることと同じくらい、「今はやらなくてよいこと」が整理されることも重要

だと考えています。


現場だけでなく、管理者の話も聞きます

感染対策の課題を考える際には、現場の職員だけでなく、管理者の考えも確認することがあります。

なぜなら、

現場と管理者では、見えている景色が違うことがあるからです。

例えば、現場では、

「忙しくてこの方法は続けられない」
「人手が足りない」

と感じている。

一方で管理者は、

「ルールを決めたのに、なぜ実施されないのだろう」

と感じている。

どちらかが間違っているという話ではありません。

それぞれの立場から見える課題が違うだけ、ということがあります。

そこで、

  • 現場では何が負担になっているのか
  • 管理者は何を問題と感じているのか
  • 感染対策担当者はどこで困っているのか

を整理します。

その上で、

施設として現実的に続けられる方法を一緒に考えていきます。


「一緒に考える」と、施設には何が残るのか

私が支援で目指しているのは、

私がいなくても、その後も施設自身で感染対策を続けられる状態

です。

外部の専門家が来るたびに、
「次はこれをしてください」
と指示を受け続ける状態では、継続的な仕組みにはなりません。

一緒に課題を整理することで、施設には例えば次のようなものが残ります。

  • 今できていることが分かる
  • 優先して改善することが整理できる
  • なぜその対策が必要なのかを理解できる
  • 実施できない理由を現場で考えられる
  • 管理者と現場が同じ課題を共有できる
  • 今後同じような問題が起きたときに、自分たちで考える土台ができる

感染対策の知識だけではなく、

「自施設ではどう考えるか」という視点

を持ってもらうことも、大切な支援の一つだと思っています。


実際には、どのような支援をしているのか

つなぐ感染対策支援室では、施設の状況に応じて、

  • 感染対策に関する相談
  • 現場ラウンド
  • 職員向け感染対策研修
  • 感染対策担当者の支援
  • マニュアルの確認・整備
  • BCP整備
  • 感染症発生時の対応支援

などを行っています。

例えば、介護施設では、実際の施設環境を使いながら手指衛生や吐物処理の体験型研修を実施しました。

▶ デイサービスの感染対策研修事例|手指衛生・吐物処理を体験型で実践

また、病院では、感染管理担当者からサーベイランス、薬剤耐性菌、手指衛生、設備運用などについて相談を受け、現場を確認しながら課題や優先順位を一緒に整理しています。

▶ 香川県の病院向け感染対策相談事例|回復期病棟の課題と改善ポイント

支援する内容は施設ごとに異なります。

最初から、

「この研修をしてください」
「このマニュアルを作ってください」

と相談内容が明確でなくても構いません。


感染対策のお悩み、一緒に考えてみませんか?

「自施設の感染対策が適切なのか分からない」
「改善したいことはあるけれど、何から取り組めばよいか迷っている」
「専門家に相談したいけれど、厳しく指摘されそうで不安」

そんなお悩みはありませんか?

つなぐ感染対策支援室では、2026年11月から全国の医療機関・介護施設・保育施設などを対象に、オンライン感染対策相談を開始しました。

感染管理認定看護師が施設の状況やお困りごとを丁寧に伺い、課題の整理や改善に向けた方法を一緒に考えます。

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  • 全国どこからでも相談可能
  • 感染管理認定看護師が直接対応
  • 施設の状況に合わせて、無理なく実践できる方法をご提案

具体的な相談内容が決まっていなくても構いません。

「何となく気になっていることがある」「一度、専門家の意見を聞いてみたい」というご相談も歓迎しています。

感染対策は、正しさを押し付けるのではなく、現場の皆さんと一緒に考えることが大切だと思っています。

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