香川県を拠点に、医療・介護・保育の現場で、感染対策の相談、職員研修、マニュアル・BCP整備など、現場に合った「無理なく続けられる感染対策」の支援を行う、感染管理認定看護師の横山達也です。
「毎年、感染対策研修はしているけれど、内容が同じになっている」
「マニュアルはあるけれど、実際に感染症が発生したときに職員が動けるか不安」
「手洗いや吐物処理の方法は知っていても、本当に正しくできているのかわからない」
介護施設やデイサービスの管理者・感染対策担当者の方から、このような悩みを伺うことがあります。
感染対策は、知識として「知っている」ことと、実際の現場で「できる」ことが必ずしも同じではありません。
今回は、香川県内の「デイサービス六条さんち」で実施した、手指衛生と感染性胃腸炎発生時の吐物処理をテーマとした体験型の感染対策学習会をご紹介します。
実際に職員の皆さんに手を動かしていただくことで、座学やマニュアルを読むだけでは見つけにくい、さまざまな気づきがありました。
今回の感染対策学習会
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | デイサービス職員 |
| テーマ | 手指衛生・感染性胃腸炎発生時の吐物処理 |
| 形式 | 座学+体験型演習 |
| 時間 | 約90分 |
| 特徴 | 実際の施設環境を使用した演習 |
| 講師 | 感染管理認定看護師 |
今回特に大切にしたのは、一般的な知識をお伝えするだけではなく、
「この施設で実際に感染症が起きたら、どう動くのか」
という視点です。
手指衛生演習|「洗えているつもり」を見える化する
前半は、感染対策の基本となる手指衛生をテーマにしました。
まず座学で、
- なぜ手指衛生が必要なのか
- どのような場面で手指衛生を行うのか
- 手を介して感染がどのように広がるのか
について、介護現場で起こりやすい場面を交えながらお話ししました。
その後、手洗いチェッカーとブラックライトを使用して、職員の皆さんに普段通りの手洗いを行っていただきました。
実際に確認してみると、
- 爪の周囲
- 親指の付け根
- 手首
などに洗い残しが見つかりました。
参加された方からも、
「ちゃんと洗えているつもりだった」
「こんなに残っているとは思わなかった」
といった声が聞かれました。
手指衛生は感染対策の基本であり、多くの職員がその重要性を理解しています。
しかし、「手を洗う必要があると知っていること」と「自分が十分に洗えていること」は別の問題です。
自分の手洗いを目で見て確認することで、普段は気づきにくい癖や苦手な部分を知ることができます。
自施設でも確認してみてください
例えば、次のような点はいかがでしょうか。
- 職員が適切なタイミングで手指衛生を行えているか
- 手洗い方法を実際に確認する機会があるか
- 新しく入職した職員にも同じ方法が伝わっているか
- 「手指衛生をしてください」と伝えるだけの研修になっていないか
手指衛生は基本的な対策だからこそ、長く働いている職員も含めて、定期的に振り返る機会を設けることが大切です。
吐物処理演習|「拭き取る」だけでは感染拡大を防げない
後半は、感染性胃腸炎の発生を想定した吐物処理演習を行いました。
まず座学で、
- ノロウイルスなどが施設内で広がりやすい理由
- 少ないウイルス量でも感染につながること
- 吐物による環境汚染が広範囲に及ぶ可能性があること
などを確認しました。
そして今回は、研修室の中だけで練習するのではなく、実際に利用者さんが普段過ごしている場所を使いました。
想定は、
「突然、利用者さんがその場で嘔吐した」
というものです。
最初に私が対応の流れを実演し、その後、実際に職員の方にも対応していただきました。
すると、
「思った以上に大変」
「処理することだけに集中してしまう」
「周囲への対応まで頭が回らない」
といった気づきが生まれました。
これこそ、実際に体験してみなければ分かりにくい部分です。
吐物処理では「吐物」だけを見ない
吐物処理というと、
「床にある吐物をどのように消毒するか」
に注目しがちです。
しかし、感染拡大を防ぐためには、その前後にもさまざまな対応が必要です。
例えば、
- 嘔吐した利用者さんの安全を確保する
- 周囲にいる利用者さんを速やかに誘導する
- 汚染した場所への立ち入りを制限する
- 必要な個人防護具(PPE)を適切に使用する
- 汚染範囲を考えながら処理・消毒する
- 使用した物品を適切に廃棄する
- 処理後に手指衛生を行う
といった対応があります。
さらにデイサービスなどの介護現場には、
- テーブル
- 椅子
- 手すり
- ソファ
- カーテン
- 車椅子
など、利用者さんや職員が触れる設備や物品が数多くあります。
そのため、実際の感染症発生時には、
「どこまで汚染されている可能性があるのか」
「誰をどこへ誘導するのか」
「誰が処理を担当し、その間ほかの職員はどう動くのか」
まで考える必要があります。
今回も、実際の施設環境で演習したからこそ、
マニュアルを読むだけでは見えにくかった課題
を確認することができました。
自施設の吐物対応も一度確認してみてください
施設内で突然嘔吐が発生した場合を想像してみてください。
- 吐物処理セットはすぐに取り出せますか?
- 必要なPPEはそろっていますか?
- 誰が利用者さんを誘導するか決まっていますか?
- 職員は処理方法を「見たことがある」だけではなく、実際に経験していますか?
- 処理後の物品や廃棄物をどこへ持っていくか決まっていますか?
- マニュアルの内容と実際の施設環境は合っていますか?
一つでも「どうだったかな?」と思うものがあれば、一度実際の環境で確認してみる価値があります。
なぜ「現場で体験する研修」が重要なのか
感染対策は、施設によって同じ方法がそのまま当てはまるとは限りません。
例えば、
- 利用者さんの特徴
- 建物の構造
- 職員数
- 職員配置
- 利用者さんや職員の動線
- 使用している物品
- 職員の経験や理解度
によって、実際に取りやすい対策は変わってきます。
香川県の「高齢者介護施設・事業所における感染対策マニュアル」でも、感染対策研修について、座学だけでなく手洗いなどの実習、外部専門家の活用、感染症の発生を想定したシミュレーションなどが紹介されています。
大切なのは、研修を「受けた」ことで終わらせるのではなく、
実際の現場で職員が動ける状態につなげること
だと考えています。
そのため、つなぐ感染対策支援室では、一方的に知識をお伝えするだけではなく、できる限り実際の環境を確認しながら、
「この施設ではどうするか」
を職員の皆さんと一緒に考える学習会を大切にしています。
感染対策研修が毎年同じ内容になっていませんか?
介護施設では感染対策研修を定期的に実施していても、
- 毎年ほぼ同じ内容になっている
- 職員が受け身になっている
- マニュアルを読み合わせるだけになっている
- 研修をしたものの、現場で実践できるのか確認できていない
ということがあります。
だからといって、毎年まったく新しい内容を用意する必要があるわけではありません。
手指衛生も吐物処理も、感染対策では繰り返し確認する価値のある基本的なテーマです。
重要なのは、
「知識をもう一度聞く」だけではなく、「今の自施設で実際にできるか」を確認すること。
体験型の研修を取り入れることで、職員自身が課題に気づき、その後の行動につながるきっかけを作ることができます。
このような施設におすすめです
今回のような研修・支援は、特に次のような施設におすすめです。
- 感染対策研修が毎年同じ内容になっている
- マニュアルはあるが、実際に使えるか不安
- 吐物処理を職員全員が経験したことがない
- 職員によって感染対策の方法に違いがある
- 感染対策担当者が一人で悩んでいる
- 自施設の対策を外部の専門家に一度見てもらいたい
- 何から改善したらよいのか整理できていない
「研修をお願いするほどなのか分からない」
という段階でも問題ありません。
むしろ、最初に現在の状況を整理することで、本当に必要な研修や改善策が見えてくることがあります。
自施設でも、実践につながる感染対策を考えてみませんか?
「毎年同じような感染対策研修を繰り返している」
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「施設の状況に合った研修を行いたいけれど、何から始めればよいか分からない」
そんなお悩みはありませんか?
つなぐ感染対策支援室では、施設の状況や職員の皆さんの理解度に合わせて、現場で実践できる感染対策を一緒に考えています。
2026年11月からは、全国を対象としたオンライン感染対策相談を開始しました。
オンライン感染対策相談
60分・15,000円(税込)
- 全国どこからでも相談可能
- 感染管理認定看護師が直接対応
- 職員教育や感染対策上の課題について、具体的な改善方法を一緒に検討
「今の研修内容を見直したい」「どのような演習が自施設に必要なのか相談したい」といったご相談も歓迎しています。
また、実際の施設環境で手指衛生や吐物処理の演習を行いたい場合には、訪問型の感染対策学習会にも対応しています。
いきなり研修を依頼するのではなく、まずは自施設の課題を整理するところから始めてみませんか?
感染対策を、もっと優しく、もっと身近に。
現場で無理なく続けられる感染対策を、一緒に考えていきましょう。
つなぐ感染対策支援室では、医療機関・介護施設・保育施設などを対象に、感染対策に関する相談、職員研修、現場ラウンド、マニュアル・BCP整備、感染症発生時の対応支援などを行っています。
香川県を拠点に中四国・関西圏などへの訪問支援を行うほか、2026年11月からはオンライン相談を開始し、全国からのご相談にも対応しています。
施設の規模や職員の状況に合わせて、知識を伝えるだけでなく、現場で無理なく続けられる感染対策を一緒に考えます。
感染対策や職員教育について気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。




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