尿道留置カテーテルは医療機関や介護施設において日常的に使用される一方で、感染症の大きなリスク要因となります。いわゆるカテーテル関連尿路感染(CAUTI)は、発生頻度が高いだけでなく、発熱や敗血症の原因となり、入院期間の延長や重症化につながるケースも少なくありません。
特に高齢者や基礎疾患を有する患者・利用者では影響が大きく、施設全体の医療安全やケアの質にも直結します。
しかし実際の現場では、マニュアルは整備されていても手技のばらつきや省略が起きやすく、「わかっているが実践できていない」状態に陥ることも多いのが実情です。その結果、気づかないうちに感染リスクが蓄積しているケースも見受けられます。
本記事は、こうした課題に日々向き合う医療機関・介護施設の看護管理者の方に向けて、現場で起こりがちな問題とその背景を整理することを目的としています。
尿道カテーテル感染が高止まりしていた病棟での取り組み
前職の急性期病院にて、感染管理者としてサーベイランスデータを分析していた際、
ある病棟で尿道留置カテーテル関連感染の発生率が
5.3 / 1000デバイスデイズ
と、他病棟と比較して高い状態が続いていることが分かりました。
(というかJHAISのベンチマークと比較しても著しく高い数値で明らかに異常でした)
現場ラウンドで見えた「マニュアルと実践の乖離」
原因を把握するため現場ラウンドを実施したところ、
- カテーテル挿入時に陰部洗浄が行われていないケースが多い
- マニュアルには陰部洗浄に関する記載があるが、実践されていない
- スタッフ間で消毒手技の認識にばらつきがある
という課題が明らかになりました。
介入①:データに基づく学習会の実施
単なる注意喚起ではなく、「なぜ必要か」を理解してもらうことを重視し、
- 陰部洗浄未実施による感染リスク
- 実際に当該病棟で発生していた感染事例
- サーベイランスデータの具体的数値
を用いた学習会を実施しました。
また、全スタッフが受講できるように複数回開催としました。
介入②:管理者を巻き込んだ継続的フィードバック
現場スタッフの教育だけで終わらせず、
- 病棟師長・主任へサーベイランス結果を定期的に共有
- マニュアル順守の声かけを現場主導で実施
これらを組み合わせて実施することで、現場に定着する仕組みを作りました。
成果:感染率の明確な改善

これらの取り組みの結果、
5.3 → 2.28 / 1000デバイスデイズ
まで感染率が低下しました。
単発の改善ではなく、継続的な低下傾向を確認しています。
横展開による波及効果
この事例をもとに他病棟でも同様の学習会を実施したところ、
- 他病棟でも感染率の低下を確認
- 手技の標準化が進行
するなど、院内全体への波及効果も得られました。
この事例からわかる重要ポイント
本事例の本質は以下の3点です。
- サーベイランスは「見える化」だけでは不十分
- 現場の実態を把握するラウンドが不可欠
- 教育+管理者関与で「行動変容」が起きる
同様の課題でお困りではありませんか?
- 感染率は把握しているが、改善につながらない
- マニュアルが現場で守られていない
- 教育しても定着しない
このようなお悩みに対して、
現場に合わせた形での支援が可能です。
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▶︎ 感染対策の相談をしてみる(公式ホームページ)
「自施設の状況を一度見てほしい」という段階でも問題ありません。
現場の実態に合わせた具体的な改善提案を行います。
※本事例は個人・施設が特定されないよう一部情報を加工しています。



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