香川県から発表された最新の感染症週報(2026年第19週:5月4日〜10日分)をもとに、今週の流行状況と現場でのポイントをまとめました。施設内での対策に役立てていただければ幸いです。
今週の全体傾向
今週の定点把握感染症の報告患者総数は88人で、前週(111人)と比べ約2割減少しました。大きな流行が起きているわけではありませんが、いくつか注目すべき動きがあります。
第19週の特徴を一言でまとめると、
「冬の感染症は落ち着き、小児を中心とした春〜初夏の感染症へ移行している時期」
です。
特に目立ったポイントは以下の通りです。
- インフルエンザはほぼ終息
- 新型コロナウイルス感染症は低水準
- 小児の感染性胃腸炎が継続
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌)がやや増加
- ヒトメタニューモウイルス感染症が増加傾向
- SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の報告あり
定点数が多い感染症の推移は以下のグラフにまとめました。
いずれも第18週(4/27~5/3)に比べ急激に増えた感染症はありませんでした。

特に注目してほしい感染症
レジオネラ症 西讃で3件
西讃地区で3件のレジオネラ症が報告されました。
レジオネラ症は、循環式浴槽や空調設備の冷却水などに繁殖したレジオネラ菌を含む微細な水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染します。肺炎型では重篤化するケースもあるため、介護施設や医療機関では入浴設備の日常的な清掃・消毒・水質管理の徹底をあらためて確認してください。
- 循環式浴槽の清掃・消毒記録の見直し
- 貯湯槽の温度管理(60℃以上の維持)
- シャワーヘッドや配管の定期的な洗浄
SFTS(重症熱性血小板減少症候群) 高松・小豆島で各1件
マダニが媒介するウイルス感染症です。春〜秋にかけて活動が活発になります。
香川県を含む四国ではしばしば報告される感染症です。
致死率が高く、現時点で有効なワクチンや特効薬はありません。アウトドア活動や農作業後は、体のすみずみまでマダニの付着がないか確認する習慣を職員・利用者への啓発に活かしてください。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 高松で2件
「人食いバクテリア」とも呼ばれる重篤な感染症。急速に進行するため早期対応が重要です。
免疫低下のある方や高齢者への影響が大きい疾患で、過去には病院においてアウトブレイクを起こした例もあります。
日常ケアにおける手指衛生、適切な個人防護具の使用、環境整備が管理のポイントとなります。
ヒトメタニューモウイルス感染症 増加傾向・中讃で集積
RSウイルスに似た症状(発熱・咳・鼻水など)を引き起こし、乳幼児や高齢者では重症化リスクがあります。今週は過去10年平均(0.1)をやや上回る0.2となっており、保育施設・高齢者施設での動向に注意が必要です。
インフルエンザ・新型コロナの状況
インフルエンザの報告は今週ゼロ。新型コロナも散発的な報告にとどまっており、大きな流行はみられません。
新型コロナウイルス感染症は今週4件の報告で、1歳(2件)・30〜39歳(1件)・70〜79歳(1件)という年齢分布でした。引き続き手指衛生・換気・体調管理の基本対策を継続することが重要です。
現場での対応ポイントまとめ
- 浴槽・水回りの管理:レジオネラ症集積を受け、施設内の循環式浴槽・貯湯設備の管理状況を再確認しましょう
- マダニ対策の啓発:SFTSシーズン入りにあわせ、屋外活動後のチェックを職員・利用者・ご家族へ周知を
- 呼吸器感染症への注意:ヒトメタニューモウイルスが増加中。乳幼児・高齢者のいる施設は早期発見、標準予防策の徹底を心がけて
- 基本的な感染対策の継続:新型コロナ・インフルエンザは落ち着いていますが、手指衛生・換気の習慣は通年で維持しましょう
※本記事は香川県感染症情報センター発行「香川県感染症週報 2026年第19号」をもとに作成しています。
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