今週の全体像

今週は報告患者総数が前週比で約10%増加しました。特に手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱という夏の小児感染症3疾患がいずれも増加しており、香川県内の保育施設・幼稚園では早急な感染対策強化が求められる状況です。
定点把握感染症の動向

今週もっとも注目すべき動向:手足口病とヘルパンギーナの同時急増

今週は手足口病(前週比261.5%)とヘルパンギーナ(前週比300.0%)がともに急増しました。
いずれもエンテロウイルスを主な原因とする夏季の小児感染症であり、毎年6〜8月に流行のピークを迎えます。
今週の数値は過去10年平均(手足口病2.4人、ヘルパンギーナ2.2人)に近い水準に達しており、流行の本格化が示唆されます。
全数把握感染症(第25週の届出)
| 感染症名 | 分類 | 地区 | 件数 | 現場対応のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 結核 | 2類 | 高松 | 3件 | 疑い、確定症例は速やかに保健所へ発生届を提出。 保健所と連携し指定医療機関への入院手続きを行う。 |
| 腸管出血性大腸菌感染症(EHEC) | 3類 | 高松 | 1件 | 夏季食中毒の代表的な感染症。 罹患者の便中に細菌が排出されるため、罹患者の排泄ケア後は丁寧な手洗いが必要。 |
| 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) | 4類 | 高松 | 1件 | マダニ媒介。 農作業・山林活動後の発熱・血小板減少は積極的に疑う。 血液暴露によるヒト-ヒト感染の報告があるが、体液暴露に対する適切な防護で予防可能。 |
| レジオネラ症 | 4類 | 高松 | 1件 | 冷却塔・給湯設備・循環式浴槽が感染源となりやすい。施設内の給湯温度(60℃以上)・貯湯槽の衛生管理を確認。ヒト-ヒト感染はない。 |
| 梅毒 | 5類 | 東讃 | 1件 | 性的接触による感染。近年全国的に増加傾向。 診療や介護ケアを介して罹患者からスタッフが感染することはほぼない。 |
| 百日咳 | 5類 | 西讃 | 2件 | 咳が2週間以上続く場合は積極的に疑う。 新生児・乳児への感染は重症化リスクが高い。 |
病原微生物検出情報
今週の細菌検出はありませんでした。
ウイルスでは複数地区でライノウイルス(普通感冒の主要原因)が検出されており、引き続き呼吸器感染症への注意が必要です。
今週の気象との感染症の関係
第25週の平均気温は24.8℃(過去30年平均23.5℃より+1.3℃高め)、平均湿度は74.3%でした。
気温25℃前後・湿度70%超という環境は、エンテロウイルス(手足口病・ヘルパンギーナの原因)が活発化する典型的な夏季パターンです。ウイルスは飛沫中で一定時間生存できるため、換気不良の室内環境は感染リスクを高めます。特に保育施設・幼稚園では梅雨の時期に窓を閉めがちになりますが、こまめな換気(1時間に2回程度、5〜10分)の継続が重要です。
また、この気温帯はマダニ(SFTS・日本紅斑熱等の媒介)の活動が活発な時期とも重なります。今週のSFTS届出とあわせて、屋外活動者への注意喚起を続けてください。
施設種別の対応ポイント
🏥 急性期病院・診療所
- SFTS・レジオネラ症の届出あり。血液曝露リスクのある処置では手袋・マスク及び目の防護を徹底
- 百日咳2件:咳が2週間以上続く患者は咳エチケット指導とサージカルマスクの着用を依頼
- 腸管出血性大腸菌:O157等の確認検査は保健所と連携。食品取扱職員の対応を確認
- 結核3件:接触者健診の対象範囲は保健所と協議し迅速に対応
- 入院患者への夏季小児感染症持ち込み防止のため、未就学児及び学童の面会については施設ごとに対応を検討
🏡 介護施設
- 腸管出血性大腸菌:食中毒シーズン入り。食品の加熱管理・調理者の手洗い再徹底を
- 換気の継続(梅雨時期でも1時間に2回以上)
🧒 保育施設・病児保育
- 最重要週:手足口病(中讃・西讃で警報レベル)・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱が同時増加中
- 手足口病:おむつ交換後・食事前の石鹸+流水による手洗いを全職員で再確認。保護者にも家庭での手洗い指導を
- おもちゃ・ドアノブ等は0.02%次亜塩素酸ナトリウムで毎日拭き取り消毒
- プール活動は咽頭結膜熱(プール熱)の感染経路になるためタオルの共用厳禁、目の充血を認めた園児は医療機関受診を促す
- ヘルパンギーナ:高熱・口腔内水疱で食事がとりにくくなる。脱水に注意し、症状が重い場合は受診勧奨
- 病児保育では、手足口病・ヘルパンギーナの同室コホーティング管理を検討
おわりに
今週の香川県感染症週報では、手足口病・ヘルパンギーナの急増をはじめ、SFTS・レジオネラ症・百日咳など、施設によってはすぐに対応が必要な情報が複数含まれていました。
感染症の流行は週ごとに変化します。週報のデータを「読むだけ」で終わらせず、自施設の状況と照らし合わせて「今、何をすべきか」に落とし込むことが、集団感染の予防につながります。
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