インフルエンザはすでに流行入り|医療・介護・保育施設で今、確認しておきたい感染対策

感染対策

香川県を拠点に、医療・介護・保育の現場で、感染対策の相談、職員研修、マニュアル・BCP整備など、現場に合った「無理なく続けられる感染対策」の支援を行う、感染管理認定看護師の横山達也です。

10月に入り、朝晩は少し涼しくなってきました。

とはいえ日中はまだ暑い日もあり、
「インフルエンザはもう少し寒くなってから」
というイメージを持っている方もいるかもしれません。

しかし、今年はすでにインフルエンザの流行が始まっています。

全国では、2026年第39週(9月21日~27日)のインフルエンザの定点当たり報告数は7.17となっています。
前週の8.48からはやや減少していますが、前年の同じ時期は1.04でした。
※シルバーウィークによる診療日減を考慮する必要があります

つまり、今年は昨年の同じ時期と比べても、かなり多くの患者が報告されています。

香川県では、さらに早い時期から流行が始まっています。

第35週(8月24日~30日)の時点で、インフルエンザの定点当たり報告数が流行入りの目安となる1.00に達し、香川県はインフルエンザの「流行入り」を発表しました。

これは、過去10年間で2番目に早い流行入りです。

まだ10月。

ですが、
「これからインフルエンザに備える」というより、すでに流行していることを前提に考える時期に入っています。

では、医療機関や介護施設、保育施設では、急いで何か特別な感染対策を始めなければならないのでしょうか。

私は、必ずしもそうではないと考えています。

インフルエンザだからといって、特別なことばかりする必要はありません

「インフルエンザが流行している」と聞くと、

「消毒をもっと増やした方がいいのでは?」
「全員マスクを徹底した方がいい?」
「施設として何か新しい対策を始めないといけない?」

そんなふうに考えることもあると思います。

もちろん、インフルエンザワクチンの接種など、この時期だからこそ検討しておきたいことはあります。

一方で、日常の感染対策については、インフルエンザだからといって特殊な方法を新しく追加するというよりも、

普段から行っている基本的な感染対策を、もう一度確認すること

が大切です。

  • 手指衛生はできているか
  • 咳や鼻水などの症状がある人への対応は決まっているか
  • 必要な場面でマスクなどの個人防護具を使用できているか
  • よく触れる場所の清掃は適切に行われているか

どれも、インフルエンザだけのために行う感染対策ではありません。

普段から行っている感染対策です。

しかし、「普段からやっていること」ほど、

いつの間にか自己流になっていたり、

「たぶんできているだろう」

と確認されなくなったりするものでもあります。

インフルエンザが流行している今だからこそ、一度基本に戻ってみることも大切です。

職員の体調管理はできていますか?

感染症の流行期にもう一つ確認しておきたいのが、職員の体調管理です。

発熱している職員が出勤することは少ないと思います。
(私が若いころは解熱剤飲んで出勤するという恐ろしい風習があったとかなかったとか…)

では、

「少し喉が痛い」
「咳は出るけれど熱はない」
「家族がインフルエンザになった」

このような場合はどうでしょうか。

現場では判断に迷うことも多いと思います。

もちろん、

「症状があれば全員休み」

という単純な話ではありません。

人員配置の問題もありますし、症状の程度や業務内容によっても考え方は変わります。

だからこそ大切なのは、

症状が出てからその都度考えるのではなく、ある程度施設内で考え方を整理しておくことです。

「誰に報告するのか」
「どのような症状があれば相談するのか」
「勤務中に症状が出た場合はどうするのか」

こうしたことが決まっているだけでも、感染症が増えてきたときの現場の混乱は少なくなります。

そのマニュアル、本当に使えますか?

そして、私が特に確認していただきたいのが感染対策マニュアルです。

病院や介護施設、保育施設を訪問していると、感染対策マニュアル自体はきちんと整備されている施設を多く見かけます。

ファイルを開けば、

「インフルエンザ発生時の対応」

「感染症発生時の報告体制」

などが、きちんと書かれています。

ここまでは問題ありません。

問題は、

「実際にインフルエンザが発生したとき、そのマニュアルを職員が使えるか?」

ということです。

マニュアルはある。

しかし、

  • どこに置いてあるのか分からない
  • 管理者は知っているけれど、現場の職員は知らない
  • 内容を確認すると、現在の施設の体制とは少し違っている
  • 文章が多すぎて、いざというときにどこを読めばよいのか分からない

こうしたケースは、決して珍しくありません。

少し意地悪な言い方をすると、

マニュアルは「作ること」が目的ではなく、「使うこと」が目的です。

立派なマニュアルが本棚に並んでいても、感染症が発生したときに使われなければ、残念ながら十分に役割を果たしているとは言えません。

そして今年は、

「流行する前に確認しておきましょう」

ではなく、すでに流行が始まっています。

一度、施設のマニュアルを開いてみてください。

そして、

「今日、この施設でインフルエンザの患者さん・利用者さん・園児が1人出たら、このマニュアルを見ながら職員は動けるだろうか?」

と考えてみることをおすすめします。

今、確認しておきたいこと

難しいことをたくさんする必要はありません。

まずは、次のようなことから確認してみてください。

  • 手指衛生など、基本的な感染対策が実際に行われているか
  • 職員が体調不良時に報告・相談する方法が決まっているか
  • マスクや手袋など、必要な物品が不足していないか
  • インフルエンザが発生した場合の連絡体制が決まっているか
  • 感染対策マニュアルが現在の施設の体制に合っているか
  • 現場の職員がマニュアルの場所や内容を知っているか

全部に○がつけば、かなり安心です。

逆に、

「そういえば、ここはどうなっていたかな?」

という項目があっても、それは悪いことではありません。

複数人の感染者が出てから気づくよりも、今気づくことができた方がずっとよいからです。

大切なのは「対策を増やすこと」ではありません

インフルエンザの流行を聞くと、

「もっと消毒しないと」
「もっとマスクを徹底しないと」
「何か新しい対策を始めないと」

と、ついつい対策を増やしたくなります。

しかし、感染対策で大切なのは、対策の数を増やすことではありません。

必要な対策を、必要な場面で、きちんと続けられること。

私は、こちらの方がずっと大切だと考えています。

今年は、すでにインフルエンザの流行が始まっています。

だからこそ、慌てて何か特別なことを追加する前に、

「普段やっている感染対策は、ちゃんとできているかな?」
「今日1人目が出たら、職員は迷わず動けるかな?」

そんな視点で、一度施設の中を見直してみてください。

感染が広がる前の今だからこそ、見つけられることがあります。

「一度相談してみたい」「実際の現場を見てほしい」という方へ

感染対策について、

「今のやり方で大丈夫なのか、少し確認してみたい」
「マニュアルはあるけれど、実際に使える内容になっているか自信がない」
「職員ごとに感染対策のやり方が違っている」

そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

現在、香川県・岡山県の医療機関、介護施設、保育施設などを対象に、感染対策の無料相談モニターを実施しています。

「いきなり依頼するほどではないけれど、一度専門家に話を聞いてみたい」

という方にもご利用いただける内容です。

また、

「実際に施設を見てもらい、自施設の課題を具体的に整理したい」

という場合には、初回現場診断パッケージ 15,000円(税込)をご用意しています。

こちらは香川県・岡山県に限らず、対応可能エリアであればご相談いただけます。

ヒアリングや施設内の確認を通して、

「何ができていて、どこを見直した方がよいのか」

を一緒に整理し、今後取り組みやすい形にまとめます。

感染症が広がってから慌てて対策を増やすのではなく、

今ある感染対策を、一度きちんと見直しておく。

そのきっかけとして、ご活用いただければと思います。

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